■こぼれ話

裏地の話

新作のご紹介が遅れていて申し訳ありません。

今回はキルティング素材で作るダッフルコートです。

(裏地つきで、仕様書もそのようになっていますが、少し工夫すれば

裏地なしでもお作りいただけます。)

裏地のパターンは表地のパターンとは別の、専用のパターンになっています。

(縫いの難しさは変わりません)

縫い代のつけ方が表地と違うのはもちろんですが、形そのものが違います。

(違うというよりも厳密には表地から展開した、少し違う形状になっています)

体が動きやすく機能するように、裏地は基本的に

表地よりも沢山のゆとりを必要としています。

そのため、パターン操作により、人間の運動に合わせた裏地パターンを作成し、

より着心地の良い形を作ります。

ただしこれは、工業用(工場で量産するための)パターンの話です。

それでは、もっと色々な所に手間隙をかけているはずの、

オートクチュールのような場合はどうなるでしょうか。

オートクチュールでは、もともとあまり紙のパターンを起こしませんが、

起こす事があっても、表地のみで、裏地はほとんどありません。

(パタンナーや私が認識している限りですが・・・)

表地と同じ形で(縫い代巾などは多少違いますが)基本的に裁断します。

と、ここまで書くと、工業用パターンの方が手間がかかっているように思いますが

オートクチュールは、パターンではなく「縫い」で、裏のゆとりを出していきます。

基本的に1点ものなので、1枚1枚、生地や着る人の体型に合わせて、

経験とカンとセンスで、縫いながらゆとりを加減して入れるという

高度なテクニックで作ります。

工業用パターンは、スピーディーに同じものを沢山仕上げるために、

「誰が縫っても同じ仕上がりになり、縫製に手間が少ない」ことが前提なので

本来手作業で入れるゆとりを、パターンで入れているというわけです。

裏地は、テロテロしていて裁断しにくい、縫いにくいイメージですが、

スカートやパンツに使うような、普通地用の厚みの裏地ではなく、

コートの場合は、「コート用」「厚地(裏地の中では)」を使います。

少ししっかりしていて、普通地用ほど縫いにくいということもないと思います。

今回私はサンプル用にベンベルグのベンフルフルという裏地を使いましたが

(キュプラ100%)扱いやすく、キセも綺麗に入りました。

他にもポリエステル系などはしっかりしていて扱いやすいと思います。

裏地のあるコートは、一番寒い時期でも暖かいですし、するっと着心地良いです。

これからの季節におすすめです。などと言ってまだお待たせしてしまっておりますが、

きちんとした形で、準備出来次第、ご紹介させていただけたらと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

|

柄合わせ、するかしないか

昨日の記事で柄合わせを失敗したなんて書きました。

私は柄合わせ、するのですが失敗しても全然気にならない方です。

(だから同じことを繰り返すのだと言われれば、そうともいえます)

なぜ気にならないかというと、もちろん大雑把な性格もあるのですが、

市販の洋服は、柄合わせできていないものがとても多いから

あまり気にするものでもないと思っています。

なぜ柄合わせできていないものが多いかというと・・・できていないわけではなく

用尺を節約するため、あえて「しない」という事が多いのでは・・・と思います。

アパレルメーカーでは、生地を少しでも節約するため、こんな風に

2~3枚分のパターンを型入れ(マーキングとも言います。生地にできるだけ

無駄を出さないよう効率的に型紙を配置する事)して、1枚分の用尺を割り出します。

2009529tips

このやりかたでは柄合わせはできないですし、おそらく考えてもいません。

もちろん、高級ブランドや、こだわりのあるブランドの場合などは別です。

(費用対効果を考えた上での話です。)

これを家庭でのハンドメイドに置き換えると、

生地の節約のために、柄合わせをしないという選択も可能ですね。

もちろん丁寧に柄合わせして、うまくいった時の喜びもあります。

でも、少なくとも、仮に失敗しても気にしなくていいな、と思います。

丁寧に存分に作れるのも、失敗を笑って思い出にするのも

ハンドメイドの醍醐味なんだと思います。

|